公演後のテーマソング

9日間21ステージ上演されたエビス駅前バープロデュース Reboot『捨てる。』も無事幕を下ろすことができました。ご来場いただいた皆さま、応援していただいた皆さま、本当にありがとうございます。共演者やスタッフの皆さまにも心より感謝します。

ほかの仕事もそうですが、特に舞台づくりにおいては1人では何もできないことを改めて実感します。一緒に舞台を作るメンバーがいて、それを観ていただくお客様がいて、初めて舞台公演というものが成立するわけですが、それ以前にも別の舞台を一緒に作った人たちや、別の仕事で関わった人たち、さらに遡れば学校の先生やクラスメート、両親や親戚の人たちなど自分と様々な形で関わってくれた人たちがいたおかげで「今」があるわけです。そのすべての人たちにネットの片隅で感謝の言葉を述べても届かないのは承知していますが、直接お礼ができない代わりに私は作品を世間に届け続けていきます。

今回『捨てる。』では過去に妻子を捨てたダメ男を演じました。妻子を捨てたからダメ男になったのではなく、ダメ男だから妻子を捨てたわけですが、では世の妻子持ちのダメ男は遅かれ早かれ妻子を捨てることになるかと言うとそうではありません。人間誰しもダメな部分はあります。私が演じた溝田の場合、たまたま「妻子を養っていけない」というダメな部分が露呈しただけの話です。それでも自分のバーを持つことはできたし、新たな妻子を持って遅ればせながらも「家族」を大事にすることに目覚めたわけです。

一度ダメなことをしてしまうと大なり小なり失うものがあります。人は大切なものを失いたくなくてダメにならないよう努力します。でも、突き詰めていけばどうやってもなくならないダメな部分もあるわけで、だからこそ人というものは完璧ではなく、そこが面白いところでもあるわけです。

捨てるもの、捨てられるもの、捨てられないもの、捨てられたもの、取捨択一を繰り返していく人生の中で物質的なものだけではなく精神的なものや人のつながりでも捨てたり捨てられたり捨てられなかったりする場面がたくさんあります。今回出演した舞台は「だから捨てた方がいい」「だったら捨てない方がいい」というようなお仕着せの説教話ではなく「捨てる」という行為にまつわる様々な人生の一場面を再現しただけのお話です。ご覧いただいたお客様が現実で同じような場面に遭遇することはないかもしれませんが、自分にとっての「捨てる」ことについて考えるきっかけになっていただければ幸いです。

今回のエントリのタイトルについて触れないまま長々と書いてしまいましたが、音響を手伝っていただいたシンガーソングライターの丘咲アンナさんに、「捨てる。」の曲を作っていただきましたので、この場を借りてご紹介します。

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